ウォンマガ夏フェス 感想⑦

ウォンマガ夏フェス2015感想続きの続きの続きの続きの続きの続き。

月に住むなら檸檬を植えて

現代青春もの。
レモンクリームがはさまった甘さ控えめのクッキーの味が口いっぱい広がるようなお話。
非日常的なふんいきの本屋さん(だが非ファンタジー)で出会った女の子に恋をして…というストーリーラインがすごく素直で受け入れやすいし、その素直さが逆に私の予想を裏切って愉快でした…
あと、下心が動機で動こうとする主人公は応援せざるをえない。
眼鏡で三つ編みとかあざとすぎて、主人公じゃなくてもテンション上がりますって。

潮騒の子どもたち

近代と遠い世界の境目なファンタジー。
グレーがかった鈍い青の海に、ほんの少しだけ白波が立っているイメージが焼き付いています…そんな描写あったっけ…
幻想の要素があちこちに散りばめられているのに、わりとシビアだし生々しい世界。
だからこそ、主人公の選択と、生きていく姿が確かなものとして感じられるんだろうなぁ。
潮が引きいてゆくときに異界に往って、潮が満ちていくときに異界から戻ってきたのかな…と薄ぼんやり思ったりしました。

黄昏を越えておいで

現代青春ファンタジー。いや、ホラー…?
きれいで懐かしくてどこか遠くて、でも薄い薄いガラスの立っているかのような危うさの漂っている作品。
「彼女」の本質的な魅力って、姿形や言動ではなく、空恐ろしいような危険なような雰囲気にあるんじゃないのかなぁ…と思いました。ゾクリとする美しさ。
主人公が黄昏を越えてしまうのか、それとも越えずに「彼女」のいない世界で生きるのか、ハラハラしながら見守るしかできなかった…

彼岸のもろい土を踏む

異国の物語。あるいは悼む物語。
亡くなってしまった大切な人との思い出を保存しつつも消化してゆく少女のかなしみと、楽園のような島の風景との対比がとても鮮やか。
なんというか、色とりどりの花が咲き乱れ、陽光にあふれた景色が、彼岸のようなんですよね…
葬られるならこんな場所がいいと思わざるをえない。
でも、主人公はたしかに生きているし、故人が生きていた形跡をなぞることは遺されたものにしかできないんだよなぁ…

かつては小夜哭く少女であった

現代兄妹もの。
妹がかわいい。以上だ。だけどお兄ちゃんもかわいい。
だって、中学生のお兄ちゃんが、小学生の妹を甘やかしているんですよ…?
子どもが子どもを甘やかしているんですよ…?
想像するだけでニヤニヤできるじゃないですか…
ふたり並んでアイス食べながら、夏の心霊特番を見るだけでもかわいいのに、しまいには手をつないで寝るんですよ…?
心のなかでスタンディングオベーションですよ…