ウォンマガ夏フェス 感想④

ウォンマガ夏フェス2015感想続きの続きの続き。
独断と偏見によるジャンル分類が雑な感じだけど気のせいです。

ケット・シー、嗤う

西洋風ファンタジー。
ここまで具体的なワードが入っているお題って難しそうだな…!?と思いながら読みましたが、
ほんとうにケット・シーが嗤うお話で、ド直球を投げたと思いきやプラスアルファが添えられていてウホッとなりました。
人間にほだされた猫は犠牲になる運命なのだ…たとえばBUMPの『K』とか…と斜に構えて読み進めた結果、世界のやさしさにむせび泣くしかないようなラストにぶわっと包まれてしまいました…

ましろの目蓋をおしあげて

現代ものだと思ったらファンタジーだと思ったらホラーだと思ったらSFだった。
次から次へと斜め上な展開がナチュラルにぶちこまれていて、ジェットコースターに乗っている気分でした。
「これ収集つかなくなるんじゃ…!?」と思うくらいいろんな要素が詰め込まれているのに、まさかと思うくらいきれいに着地してしまって、精神的に腰を抜かしました…
余談ですが、30枚とは思えないすさまじいボリュームだなぁ…と出来心で文字数カウントをしたんですが、なにも見なかったことにしました。

あの日の彩雲を掴んで、僕らは自由と別たれる

美大青春もの。
ため息が出そうなほど(私の)理想の恋愛模様というか青春っぷりが、さらっと糖度ひかえめに描かれていて、すごく高揚感のあるしやわせな読了感でした…
フィクションっぽい軽やかさと、大学生らしいくたびれたみずみずしさと、そこはかとなく漂うリアルなにおいが、ほんともうめちゃくちゃ好み。
甘くなければきらきらしくもないおかげで、無理なくストーリーを受け入れられるから、喉越しよくて身体にもすんなり浸透する作品な印象です。

わたしはあなたの魔法使い

現代恋愛もの。
甘酸っぱくて苦くて、心に発泡スチロールカッターでも押し当てられているかのような気持ちになりました。
主人公にとっては苦しい状況なんだろうけど、作中で描かれているありとあらゆる感情がまぶしくて、恋愛のもたらす生きる痛みや喜びってすさまじいものなんだな…としみじみ感じ入ってしまいました…
散りばめられたときめき要素のおかげで絶望感はないけれど、恋の苦しみエネルギーって読み手への攻撃力がすごい。

あなたのいる夜を目指す

学園…ホラー…?
比較的短めなお話なんですが、元より濃ゆいものがさらに凝縮されていて、口に含んだときの破壊力がすごい(※食べていません)。カカオ85%チョコレートって感じ。
積み重なる「鈴星鞠子」にまつわる描写と、「ボク」のじわじわと高ぶっていく感情が、物語の持つ危うさを浮き彫りにしています。
そしてこの危うさが臨界点を超えて、膜の向こう側に隠れていたものが噴出した瞬間は、唖然とした後ゾワッとしました…