覆面作家企画7 Fブロック感想&推理

覆面作家企画7 Fブロックの感想&推理です。
ツイッターでつぶやいた内容に加筆したりしてなかったり。

F01 空蝉ばかりが残された

どうにもならない感を伴うコンプレックスがあるのに、「それでも好き」を刺激されてずっと離れられなくて、葛藤したり苦しんだり迷子になったりしながらも自分のなかで答を見つける…というか決めるんだけど、それでも痛みが残り続けるようなお話は最高ですね…。興奮しすぎて一文が長い。
通り過ぎていく・いったひとびとの距離感と、それに対する焦りや不安・苛立ち、そして自分自身も先に進み続けているから今までの立ち位置にいるわけじゃない…みたいな大きなうねりがほんと好き。
こういう、自分の内からわきでてくる、他のだれかに影響されて煽られたわけではない、自分自身の真ん中で燃えている炎のようなものに焦点を当てた話はたいへんよいです。

F02 名前のない色

ああー屈折してるねぇ…って最初はしたり顔で読んでたけど、これは…。胸が痛いのに、あったかくてしにそうになる話だ…。
どうにもならない己のアンバランスさを、しっかりと受け止めてくれるひとがいるのは、ちゃんと自己開示をしたからなんだよなぁ。心臓を締めつけるような痛みを感じる話なのに、これがちゃんと押さえられているから好き。
これだけの文字数のなかで、閉塞感と孤独感(なんかニュアンス的にしっくりくる表現ではないけど…)がしっかり描かれていてすごい。
お母さんの姿にも生々しさがあって、ウェーイwwwwwwwwwみたいな感想を書いたら天にころされる気がする。

F03 鐘山に迷う

歴史全般はさっぱりだけど科挙くらい知ってるぞ!いやほとんど知らないわ…どうしよ…と動揺しながら読んだけど、かちっとしていつつも噛み砕かれていておもしろかった!
巨大な時代の大きなうねりとか流れを前にしている感覚がすごい…お辞儀したい…。
「時代」という目に見えなくてとてつもなく大きなものと、「蛍」という目に見えるけれどとても小さなものの対比が、互いを強調しあっていてうまいなーと。

F04 子連れ天使

お父さんじゃん!細かい気配りのできるお父さんじゃん!死体とか処分とか物騒な話をしているけどお父さんじゃん!ヒーローってよりもお父さんじゃん!
主人公が(子連れ天使では…?)と思いはじめてからの心の流れに、めっちゃニヤニヤしました…すごく人間らしいなぁ…。
リアルな部分とリアルじゃない部分の織り交ぜ方が独特。若干福井晴敏っぽいにおいを感じたけど気のせいかもしれない。

F05 異説クリュタイムネーストラー

あとでギリシャ神話を確認してこよう…そう思ったラストであった…。
稀代の悪女の裏の顔?素顔?とか、そういうの大好物なんですよ…しかも一番愛していたひとがなんかもうね…やけに妹の話をするなぁと思ったら…私大歓喜だから…。とスマホ(で読んでいた)片手に拳を握りました。

F06 イ●カに●った●年

草生やさずに感想を書くのがむずかしい…。ネタバレしたらある意味ダメな話だから、というかタイトルだから、つっこみたくてもつっこめないのがつらい…。
ストーリーそのものは、私がF(ファンタジー)ブロックに期待していたそれなんですよ…だがタイトル…。
ぜったいに「イルカに乗った少年」ではないんだなーと思っていたらあのラストで、ひょえーとなりました。
でもいいボーイ・ミーツ・●●●でした! 南海と●●●の相性って意外といいな、と思えたのも大きな収穫。

F07 光の真実

ひ、光は「物」だったのか…!ふわふわのわたあめ…なんということだ…。
たしかに四大元素のうち、火だけ現象なのは気になりますよね…。
ファンタジー要素の理論を紐解く過程がていねいで、噛み砕かれていて、私までふんふんなるなるしちゃいました。それはともかく光がかわいすぎる。

F08 ねがはくは花のもとにて…

あっSFだ!こういうジャンルくわしくないけど好きだよ結婚しよう…と思いながら読み進めてないた。
廃盤からの使えるパーツの集めがすごくリアルで、だからこそそれを大切にしたい感情がひしひしと伝わってきて…。データ、ってのがまた。
お腹周りのお肉が、また、物語のやわらかさを象徴してるようでたまらないです…。

F09 虹色クジャクと北の森

空腹時に読んだのもあって、リククラゲをめっちゃ食べてみたい…。せめてどんな味がして、どんな食感なのかをあとで詳細にお教えいただきたい…。
どんな食べものなのか気になりすぎて夜も眠れません!と花より団子っぷりを露呈しましたが、はじめて読んでから3ヶ月近く経った今も、リククラゲのことを考えるとよだれが出てくるんです…。
リククラゲを火にのせてあぶるだけで、中に入っていた水においしーい出汁がしっかり溶け出して、キノコと揮発した燃料の混ざり合った甘いにおいが ダメだ本気でよだれが止まらない。
あと、ラークがあんな性格なのに、ラストの幻想的な光景のなかで美しく輝いている…というのがおいしいポジションすぎて、きれいなラストなのにちょっと草生えました。

F10 聖泉鏡

ようじょファンタジーだ…。しかもこのようじょ、憑きもの落としをすると成長するんです!これは…紫の上気分が味わえる…!
魂を向こう側に送り込んでバトる…けどその様がなかなか物理!って感じで好き。やっぱものごとは殴って解決だな!(殴ってない)

F11 空の歌を捧げる歌姫の最後

あっこれ絶対救いのない話だ…歌姫とか聖女とかそういうのってだいたい陰惨なことになるし…というひどい偏見を煽り立てるようなエピソードが重ねられていたので、ラストの逆転ハッピーエンドには(いい意味で)ゾゾッとしました。
絶望的な状況からの巻き上げハッピーエンドが大好物なので、ブロックのラストにこの作品があって大興奮。
ほんとに気持ちいいラストで、この作品のことを思い出しただけでもほっぺたがゆるみます。

———————–ここから先推理———————–

推理最終日に30分で推理しました。

F01 碓地海さん
F02 佐倉愛斗さん
F03 すずさん
F04 jijiさん
F05 茅さん
F06 西禄屋斗さん
F07 財油雷矢さん
F08 三和すいさん
F09 百里芳さん
F10 ネジ子さん
F11 鈴子さん

■F02→佐倉愛斗さん、F04→jijiさん
サイト掲載作を拝読して、思考を介さずに推理できたグループ。特にjijiさん。

■F03→すずさん、F06→西禄屋斗さん、F09→百里芳さん
サイト掲載作を拝読して、すずさんは文章のリズムで、西禄屋斗さんはネタの扱い方で、百里芳さんはふいんきで推理。

■F01→碓地海さん
最初「タイチ」が出てくるF09でいいや…と雑な推理をしていたのですが、F09に百里芳さんを当てはめたので、あわてて推理しなおしました。
『見知らぬ子』が文体も雰囲気も一致したのでさくっと当てはめ。

■F05→茅さん
文章のリズムが一致。あと、物語の締め方も確認しました。

■F07→財油雷矢さん
文体が一番近かったので当てはめ。

■F08→三和すいさん、F10→ネジ子さん、F11→鈴子さん
ここがまったくわからなかった…。特にF11。
時間がおしてたのでチャネリングで当てはめてしまいました。反省も後悔もしている。