COMITIA123戦利品。
漫画同人誌です。
■ タイトル:執着アンソロジー Alexandrite
■ ジャンル:いろいろ
私が高校生のころ(具体的にいうとジュラ紀)から静かなるファンをやっている白飯かぶきさんがアンソロジーを発行したので、意気揚々と読んで無事に死にました。
テーマが「執着」って…! 私は結局のところロマンチックラブと和解できなかった人間なのですが、恋愛以外の相手を強く求める感情がものすごく好きで将来的にはひとびとの執着を食らって生きる妖怪になろうと考えているので、「これは私のための同人誌だ…」と思いました。
あと、表紙の時点でめちゃくちゃえろいです。かつて私はガラケーの160×120px(つまりとても小さい)のディスプレイでしろめしさんの絵を見て心臓を射貫かれたので、このえっちな表紙絵を前にした瞬間に心臓が爆発四散しました。私が死んだら棺桶に入れてほしい。
『ブーメラン』
シンプルな構成だからこそ、後半で「うわ~ああああああ…」とかすれた断末魔を上げてしまった話でした。
いやだってさあ…いい意味でサバサバ系の女子が執着してるなんて思わないじゃん…。
いやタイトル的にうっすら予想はできるかもしれないけれど、それでも、いざ墓石の絵を見せられるとショック受けるでしょ…。
それはさておき、きれいな絵柄と設定のリアルさのバランスもすごくよかった~。
『わたしのかみさま』
するめさんの描く口が悪そうな男子はものすごくピュアそうだな~あとメンタル弱そう~だまされて傷ついてほしい~とにこにこしながら読みました。
実際にこにこ展開で、居場所のないけもみみ男子が居場所のない幼女と心温まる交流を重ねて、互いにかけがえのない存在になるための足場を固めて、最後はよしよしぎゅっぎゅっでハッピーエンド…なんですけど…これは…。
「そうだ!この本は執着アンソロジーだったんだ!ちくしょおおおおおおおおおお」という気持ちになれる一作です!たぶん彼はこれからもたくさんかわいいことになるんだろう!!!かわいそうな男子が好きなら要チェックだ!!!!!!!
『極彩の箱庭』
あっ無理これ好きすぎて感想書けないわ…。
ってくらい好きな作品で、それでもなんとか感想を書こうと読み返した今も心臓が軽くバクバクしています…。絵も台詞もなにもかもがエモーショナルで苦しくてとても熱い…なんだこれは…。
内容をざっと説明すると、攻めは受けの絵をめちゃくちゃ愛していて、その愛の重さが生々しく伝わってきて、でも受け本人のことはべつに愛しているわけではなくて、でも受けに絵を描かせ続けるために愛を騙るんですよ…もう無理…このストーリーのすべてが好き…たまらん…。しかも、画面全体が感情と表情と言葉の嵐って感じで、これは読む暴力だ…と思いました。紙面からの放射熱を顔面に感じる…。
才能や作品に惚れる、というのはロマンチックラブと違って私にも理解できる…果たしてほんとうに理解できているのか…?という、私にとって質量と質感をともなったリアルな感情です。臆面もなく言い切ってしまいましたが、読み手である私の背景を明かさないと、いまいち伝わりづらい感想になってしまう…ような気がしました…。
相手に筆を折らせないためならなんでもする攻めの姿は、熱くてまぶしくて生々しくて、あーやばいやばいやばいやばいとなりました。生身の肉体をひきずったひとりの人間が太陽を飲みこもうとしている…みたいな感覚…?
肝心なところで語彙が追いつかなくてつらい。なんというか、とにかく読めばわかる!って感じです。
表現は生命活動!執着もまた生命活動!
『Yからの手紙』
いやもうこの話もすっっっごいいいんですよ!読もう!ここで通販しているぞ!
「執着」というテーマの調理法がとてもよい…よすぎる…少女漫画っぽさが濃厚だからこそ「そうくるか~」とキュンキュン…じゃないな…じんわり…でもないな…とにかく「うわああああああああああ」ってなったんですよ。
学園!日常!青春!と肌馴染みの良い要素で構成されているんですが、小道具の扱いと台詞さばきがよすぎてつらかった…。
暗さ控えめでテンポもいいんだけど、「執着」というテーマゆえかずっしりと重たい…そう、執着は思いのだ…。でも「うわーのしかかってくる!」という重たさではなくて、読後感として胸にかすかな重みが残るような…伝わるのかこれ…?
『俺の幼馴死み』
出会ったときから幽霊、幽霊が幼馴染み。死んでるけど主人公に合わせて成長する。あと口の端から常に血が垂れている。シンプルだけどパンチが効いていて、これこそがメリハリの塊…!となりました。
ポップさと四コマのノリでだまされかけたけど、これ、まちがいなく執着アンソロ掲載作ですね。だって悪霊化しかけたりするし!流血もしてるし!
人間×死者の話ですが、読後感はずば抜けてハッピーでした。そうだよね…自分のことを認識できる相手なんて、そう簡単に手放せるはずがないよね…という説得力もとてもつよい。
『傷だらけのハニー』
黒いハイネックに白衣を羽織った保険医ってスケベじゃない…?スケベだよ…。あと傷だらけの涙目女子高生もスケベですね…そして怪我の手当という行為もまたスケベ…。なにを見てもスケベなのでどうしようかと思いました。
とにかく絵面が最高にスケベでしたが、ストーリーは私のなかにある少女漫画像にもっとも近い作品でした。そうだよこれこれ、学内で教え子にちゅっ(意味深)ってしちゃう教師が必要なんだよ
『氷の冠』
高校生のころからずっとしろめしさんの絵に厨二心を刺激され続けてきたんですが(ちなみに実年齢も中学二年生です)、この作品はあのころの私が愛した(そして今の私をも駆り立てる)絵柄だったので成仏して砂になりました。つまり私のなれの果てである砂がこの感想文を書いているということです。
いやもうほんと少年も少女も男も女もみんな顔がいい…人物だけに限らず画面全体がこう…私の古傷をうずかせる…。絵が好きすぎて絵を舐めるように眺めてたからストーリーを見失ったとかそんな感じです。
そしてなんとか絵から視線を引き剥がして台詞を追うことにより掴んだ話の筋は殺し合いですよ!殺し合い!殺伐男女は我が故郷!
幼いころから互いのことをよく知ってる男女が成長後に憎み合うことほどこの世に甘美なことはないと強く信じているので、しろめし大先生の「本編を個人誌で出すわ!」という力強い言葉を信じて今日も全裸正座待機しています。
『hole』
この話もやばかった…。好きなんだけどそれよりも先に「やばい」が出てきてしまう…。最後の最後ですさまじい威力の爆弾が炸裂して言葉を失った…。
登場人物たちの感情はみずみずしいし、風紀委員の主人公は潔癖で青くさいし(それがまた高校生らしい)、そこにクラスの優等生と校則的にアウトな秘密を共有するというシチュエーションが加わって、懐かしくて愛しいんだけどどこか痛いような、よくわからない感情があふれてきてこれは…とにかくやばい…。
あと、女子が男子の耳たぶに穴をあけようとするってめちゃくちゃえっちじゃありません…? だって「穴をあける」だよ…? しかも結局穴はあけず、代わりに心に針だけ刺して去っていくんですよ…? ちなみにこの文章を打っている今の時刻は午前3時です。理性は死んだ。
このように「やばい」がどうぶつタワーバトルばりにどんどん積み上げられていくんですが、ラストシーンが最大級にやばいです。どうぶつタワーバトルでたとえると、終盤でゾウを引いてしまったような感じ。
あの透明感に満ちているのに生々しい読後感はこの作品でしか味わえないだろうな~と心から思うので、気になった方はどうか執着アンソロを手に取ってください。私からは以上です。